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GMO、仮想通貨交換所で取引所サービスを15日開始、マイニング事業は方針変更

GMOインターネット2018年12月期「第2四半期決算説明会」より

 GMOインターネット株式会社は8月9日、2018年12月期「第2四半期決算説明会」を開催した。GMOインターネットの業績について取締役副社長の安田昌史氏による説明のあと、GMOグループ代表の熊谷正寿氏が、海外事業、仮想通貨事業など今後の事業展開について明らかにした。説明会では、現在、販売所形式による仮想通貨の交換を行っている「GMOコイン」が、この8月15日から取引所の機能を実装する計画などが発表された。

GMOインターネット2018年12月期「第2四半期決算説明会」より引用、以下同

まずは業績報告から

今年度前期の決済サマリー

 説明会では、安田氏により、GMOインターネットの今年度前期業績が報告された。売上912億7000万円、営業利益117億8000万円、経常利益113億3000万円は、すべてこれまでの最高業績を更新しているという。最終利益は、42億3000万円となっている。

第2四半期営業利益の増減

 第2四半期4月から6月まで3か月間の営業利益については、65億1000万円と前年度の25億5000万円増となったとのこと。内訳は、インキュベーション事業にて投資先のIPOに伴う株式売却益が14億6000万円増、インフラ事業が最高業績を更新し9億6000万円増、新規事業である仮想通貨事業が3億3000万円の黒字などを、増益理由に挙げている。

第2四半期セグメントの状況

 各事業のセグメント状況報告では、仮想通貨事業についても詳しく報告された。仮想通貨事業は、売上26億5000万円、営業利益2億5000万円を計上し、黒字転換となったことを報告。仮想通貨交換事業は、1月から3月に一時的に損失を計上したものの、4月から6月は収益基盤の確立が進み、順調であるとのこと。しかし、マイニング事業については、Bitcoinの価格が下落したことや、総ハッシュレートの上昇など、環境変化の影響を受けているため、方針を変更したことが明らかになった。

新規事業パートについて

 海外事業、仮想通貨事業、GMOあおぞらネット銀行など、新規事業パートについては、熊谷氏より報告が行われた。新規事業は、GMOグループ全体の5年後、10年後を考えて、投資を行っているとのこと。投資は、大きく分けて海外事業とネット金融の2つの領域に対して行っているそうだ。

 海外事業は、少子高齢化の国内にこだわっていると、インターネットといえども、5年後、10年後にはその成長が鈍る可能性があると考え、同社のナンバーワンプロダクトであるインフラやFXなどの事業を輸出し、海外でも事業展開を行うこととしている。

 もう1つの領域であるネット金融とは、仮想通貨事業とネット銀行だ。今年は「仮想通貨新銀行シナジー元年」というグループ内コーポレートキャッチを掲げて、この二大事業を成長させることに取り組んでいるという。

仮想通貨事業の大方針

 仮想通貨関連の事業は、大きく分けて、仮想通貨マイニング事業、仮想通貨交換事業、仮想通貨決済の3つに分かれるという。さまざまな事業があるが、整理するとこの3つに分類されるとのこと。

 熊谷氏は、仮想通貨は、将来は「金」になるのか、「資産の保存手段」になるのか、あるいは「通貨」として流通しうるのか、これは歴史のみぞ知るところだが、少なくとも現在は、金や資産の保存手段にはなりつつあると考えているという。

 仮想通貨が金だとすれば、仮想通貨マイニング事業と仮想通貨交換事業は間違いないだろうということで、ここに集中的に投資を行っているが、これが通貨ということが確認されたら、仮想通貨決済の領域にも大規模に参入したいと考えているそうだ。

 仮想通貨マイニング事業に関しては、大きく分けて3つの事業がある。まずは、自社によるマイニング。マイニングマシンの開発と販売。マイニング設備を貸し出す、クラウドマイニング。

 かつてゴールドラッシュが起こったときには、金を掘る採掘者にもリターンはあったが、歴史的には採掘するためのツルハシや、採掘者がはくシーンズを売っていた会社が大きくもうけたという事実がある。このようなゴールドラッシュの歴史を教訓として、同社は採掘とその周辺をカバーする両面の作戦を取っているとのこと。

仮想通貨の売上高と営業利益の推移

 仮想通貨事業は、スタートしてからまだ1年しかたっていない。マイニング事業に関しては半年。だが、第2四半期だけで仮想通貨事業の売り上げは26億円となる。13年前にスタートしたネット金融事業の売上高は、75億円。仮想通貨事業は、1年間でその3分の1の売上を上げている。仮想通貨という事業領域がビジネスになるなという思いは、この四半期で、より確信を深めることができたと、熊谷氏はいう。

 一方で営業利益の推移を見ると、2億3000万円マイナス、5億3000万円プラス、7億3000万円マイナス、2億5000万円プラスと、当初想定していたものとちょっと違う動きをしているという。今回は、ここに手を入れることにしたそうだ。

仮想通貨交換所「GMOコイン」の四半期業績推移

 仮想通貨交換所「GMOコイン」の売上高、四半期業績推移は、対前四半期の7.3倍、黒字化を果たしている。第1四半期には、7億6000万円の赤字を計上しているが、これは仮想通貨を保有していたことが主たる原因で、仮想通貨の時価の下落によって評価損を出したというもの。今回は、そのようなボラティリティに左右されない収益基盤を確立したとのこと。その結果、5億5000万円の黒字になったという。また。「GMOコイン」は現在、販売所形式による仮想通貨の交換を行っているが、この8月15日から、いよいよ取引所の機能を実装されることが、ここで発表された。

「GMOコイン」売買代金と口座数の推移

 「GMOコイン」の口座数については順調に拡大中で、現在、17万口座が開設されているとのこと。これは13年間で72万口座数を獲得してきたFXに比べてみても、1年で17万口座を獲得した仮想通貨の領域に手応えを感じているという。

仮想通貨マイニング事業の四半期業績の推移

 仮想通貨マイニング事業の売上高は、対前四半期の91.8%増の売上高になっている。マイニングの計算能力を示すハッシュレートも、想定通り目標とする計算能力に達しているという。しかし、経常利益3億6000万円の赤字は、想定外であることから、方針の変更を行うそうだ。

マイニング事業における設備投資とBTC採掘量

 マイニング事業は、6月まではこれまで説明していた目標通り、ほぼ計画通りにハッシュレートもBitcoinの採掘量も順調に伸びてきた。しかし、数値を見ると、7月は横ばいになっている。これは、方針を変更したことによる影響とのこと。

マイニング事業の収益モデル

 マイニング事業に関しては、全世界のコンピューターリソースにおける自分たちのマシンパワーのシェアが、ほぼそのままBitcoinを採掘できる確率に一致するという。現在、GMOの持つハッシュパワーは、全世界の1%のシェアを確保しているという。Bitcoinのマイニングは、10分に1回のチャンスがあり、24時間にすると、144回のチャンスがある。1回の報酬が12.5BTCなので、1日144回、合計1800BTCの報酬が支払われることになる。ざっくり計算すると、1800BTC×1%×BTCの相場価格が、収益になるとのこと。

総ハッシュレートとBTC価格の推移

 この図は、ブルーのラインが世界のハッシュレート(グローバルハッシュレート)を表し、オレンジのラインがBitcoinの相場価格を表したもの。このグローバルハッシュレートとBitcoinの相場価格が、マイニングの収益を決定することになるが、この動きが、同社が想定していたものと、大きくずれてきたとのこと。

 そこで7月は当初の方針を変更したという。方針を変更するために、まずは課題を整理したとのこと。

方針を変更するために課題を整理

 まず課題として、Bitcoinの価格の低迷と総ハッシュレートの上昇という外部要因が挙げられるが、これらはコントロール不可であると判断。内部要因としては、マイニングマシンの取得価格の変動、マシンの償却期間、電力コストが挙げられるが、このうちの電力コストのみコントロール可能であることから、それらを考慮し、マイニング事業に関する優先順位を変更したという。電力コストは、グリーンエネルギーに変えることで、まだまだ下げられるという。ちなみに、マイニングマシンの取得価格の変動とは、業界の習慣で、毎月Bitcoinの相場価格に応じて価格が決まるという。現在、6万円程度で売られているマイニングマシンも、昨年末は26万円だったそうだ。そういったコストも、外部要因同様、コントロールが不可能だという。

マイニング事業における優先順位の変更

 これまでのIRでの説明では、マイニング事業に関しては、自社マイニング、クラウドマイニング、マイニングマシンの外部販売の順で事業を行うといってきたが、今回の状況を受けて、これからはマイニングマシンの外部販売を最優先に行うという。また、余剰マシンを電力コストの少ない地域に回し、自社マイニングを行っていくとのこと。その上で、クラウドマイニングのニーズがあった場合のみ、クラウドマイニングサービスを提供していくとのこと。今回の変更方針で、投資金額の抑制、キャッシュの早期回収を目指すという。

 なお、説明会についてはGMOインターネットの公式サイト「決算短信・説明会資料」にて動画や資料が公開されている。仮想通貨事業以外の事業についても詳しく知りたい方は、特に動画の視聴をおすすめする。