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テックビューロが仮想通貨流出の補償方針を発表。BTC・BCHは同額、MONAは6割を同額MONAで残りを日本円で補償

仮想通貨交換所「Zaif」については運営会社が変更されるのみとフィスコが報告

 テックビューロ株式会社は10月10日、同社が運営する仮想通貨交換所「Zaif」で発生した仮想通貨流出事件に関して、同社と株式会社フィスコ仮想通貨取引所との間でZaifの事業譲渡契約(以下、正式契約)の締結を発表した。Zaifの事業はフィスコ仮想通貨取引所での承継が決定し、Zaifについてはサービスの変更なく運営会社が変更されるのみであることを明らかにした。また、Zaifの顧客に対する資産の保護、補償については、消失したBitcoin(BTC)およびBitcoin Cash(BCH)については、同額のBTC・BCHによる返還。Monacoin(MONA)は消失分相当の6割をMONAで返還し、残り4割を日本円で補償し返還することとしている。

 今回の流出事件により、事件当時のレートで約45億円分の顧客の仮想通貨が消失。同社は「Zaif Exchange 利用規約」による同社と顧客との関係性を、Zaifに対して取引の前提として日本円や各種仮想通貨を預託しているものと定めている。したがって顧客は、同社に対して「預託している日本円又は各種仮想通貨の返還を求める権利」を有するという。

 テックビューロ社とフィスコ仮想通貨取引所の正式契約では、顧客の預託した仮想通貨の返還を求める権利と消失しなかった残存する仮想通貨についても承継する。フィスコ仮想通貨取引所は、今回の消失分に相当する仮想通貨等の資産調達を既に完了していることも明らかにしている。

 フィスコ仮想通貨取引所では、BitcoinおよびBitcoin Cashについては消失した数量に相当する仮想通貨の調達を完了しているという。事業譲渡の実行日となる11月22日以降にフィスコ仮想通貨取引所での入出金サービス再開に向け取り組んでいるが、具体的な再開日については追って公表される予定だ。

 Monacoinについては、市場流通量がBitcoinなどと比較して少ないため、今回の流出事件により消失した分量に相当するMonacoinを市場から調達することが難しいことから、両社は協議の上、Monacoinを保有する顧客に対しては、仮想通貨の価値に相当する日本円を支払う方法で補償するという。補償金額は「1MONA当たり144.548円」としている。この金額は10月9日午前9時のbitFlyer社およびビットバンク社における仮想通貨交換所の相場の中間値を採用。同時刻のZaifにおける相場は128円であり、この金額を上回る補償をするとしている。ただし、Monacoinへの補償は、顧客が保有するMonacoinのうち今回の流出事件により消失した全体の4割相当を日本円にて補償し、消失せずに残った6割についてはそのまま仮想通貨にて返還されるとのこと。

 Zaifにおける仮想通貨の取引については、BitcoinおよびBitcoin Cashは本日以降も取引所における取引、簡単売買による購入・販売、積み立て等のサービスがこれまで通り継続利用可能としている。しかし、Monacoinついては、10月10日17時をもって取引を全面的に中止した。その理由は、仮想通貨の価値に相当する日本円を支払うため、個々の顧客が保有するMonacoinの数量を確定させる必要があるためとしている。今回の取引について、事前アナウンスができなかったのは、Moneroは取引量が少ないためあらかじめのアナウンスは相場を大きく変動させる要因になるなど、仮想通貨市場を混乱させる恐れがあるための決断とのこと。Monacoinの取引再開については事業譲渡の実行によりフィスコ仮想通貨取引所による運営が開始された後の予定だそうだ。

 なお、正式契約に基づく事業譲渡によりテックビューロ社と顧客との間の個々の契約関係がフィスコ仮想通貨取引所に承継されることになるが、この承継の効果の発生については顧客による承諾が必要となるため、両社は改めて顧客に対してアナウンスを行い、承諾のための手続きを案内する予定とのとこと。