仮想通貨(暗号資産)ニュース

JVCEA、改正金商法成立に伴い金融庁へ仮想通貨に関する2020年度税制改正要望を提出

デリバティブ取引の税率を金融商品と同等の申告分離課税になど多数の要望をまとめる

(Image: Shutterstock.com)

仮想通貨交換業者の自主規制団体である一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)は7月19日、金融庁へ2020年度の税制改正要望を提出した。今国会(第198回国会)で成立した資金決済法と金融商品取引法の改正法が2020年上旬に施行されることを受け、JVCEAは仮想通貨(暗号資産)の税制に関して、支払調書や申告分離課税、簡易課税制度の導入等各事項の改正案を2020年税制改正要望書としてまとめた。

今国会にて成立した金商法改正では、仮想通貨デリバティブ取引が金融商品デリバティブ取引に組み込まれた。それに伴い改正法施行後は、仮想通貨デリバティブ取引を取り扱う業者は金融商品取引業ライセンスが必要になり、税務当局への支払調書の提出義務を負うことになる。しかし現在同取引を取り扱う業者は、支払調書を提出するための準備ができていないという課題がある。

最大の課題は、支払調書に記載が必要な個人番号を現顧客から取得する必要が生じるが、この作業が容易ではないという。証券会社など先行して金商業に取り組む金融機関等においても、いまだに完了しておらず、取得期限の延長措置が講ぜられている状況だ。JVCEAは個人番号の取得については、改正法施行後3年程度の猶予期間の設定を要望として挙げている。

また現時点では、仮想通貨取引による利益は原則として所得税の課税対象となり、個人の場合は雑所得に、事業と見なされる場合は事業所得に区分される。雑所得での税率は、最高税率55%(所得税45%、住民税10%)。改正法施行後に仮想通貨デリバティブ取引が金融商品の取り扱いになるのであれば、同じ金商法で規制されている株式等の取引やFX取引に適用されている「金融・証券税制」による、税率20%(所得税15%、住民税5%)とする申告分離課税と同じ扱いとされるべきであるといった要望を挙げている。

JVCEAでは、これは税の公平・中立・簡素の原則の特に「中立」を損ねるものと考えているという。そのほかにも簡易課税制度の導入や、ICOやSTOにおける仮想通貨等の発行時に課せられる発行者への課税関係についても言及した。また、仮想通貨投資におけるエンジェル税制など、改正法施行後に必要であると思われる要望についても、2020年税制改正要望書にはまとめられている。要望書はJVCEA公式サイトにて公開されているので、誰でも閲覧することができる。