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「中国人民銀のデジタル通貨は実名制で中央集権的」の説明にネット民総突っ込み

「税金完全徴収のツールか」「プライバシー国に筒抜け」

(Image: Shutterstock.com)

中国の中央銀行である中国人民銀行が開発するデジタル通貨(CBDC)とBitcoin(ビットコイン)の違いについて、中国の著名エコノミスト宋清輝氏が8月21日、SNSウェイボ(微博)で以下のように解説し、フォロワーたちの突っ込みを呼んでいる。

「中国人民銀行が発行を準備しているデジタル通貨と、我々が知っているBitcoinは、天地ほどの違いがある。Bitcoinは非中央集権的なデジタル通貨で、帳簿は公開されているが口座は匿名性だ。言い換えれば口座が誰のものか知っている人はいない。だが、中央銀行のデジタル通貨は中央集権的で、口座は必然的に実名制で、取引は追跡できる。プライバシーは半分守られ、政府だけが閲覧する権利がある」

この投稿に、コメントでは「じゃあ、何のために発行するの?」という突っ込みが寄せられている。以下——

「じゃあ、プライバシーは政府に筒抜けじゃん!」
「全ての収入を把握して、完全に税金を徴収するためだな!デジタル通貨導入に否定的なドイツ人の賢さがようやく分かった。そのうち現金の利用は違法行為になるんじゃないか!」
「それだと銀行口座と同じだよね。デジタル通貨の口座開いて何をするわけ?」
「ビットコインと天地の違いがあるならやらない。違いがないなら考えるけどね」
「私たちは銀行のお金を(モバイル決済口座の)WeChat Pay(微信支付)やアリペイ(支付宝)に移せばそれだってデジタル通貨だよね。中央銀行のデジタル通貨と同じじゃん」

人民日報海外版も21日に、「仮想通貨ではない、ネット決済でもなく、電子ウォレットでもない中国のデジタル人民元」というタイトルで解説記事を掲載。そこには——

「通貨の属性という観点でみれば、ビットコインのような仮想通貨は本質的には通貨ではない。仮想通貨は、政府が発行する法定通貨のようには政府の信用にサポートされておらず、投機性や規制、技術の問題によって価格の変動が激しくなる。そして中国だけでなく世界の金融システムの秩序をかき乱す存在でもある」
「通貨の流通原理に照らせば、金融システムの秩序ある運営やマクロコントロールを保証するために、通貨の発行権の最高権力は国家が持つべきだ。CBDCは国家の信用に基づき、中央銀行が発行する法定デジタル通貨であり、ビットコインなどの仮想通貨とは全く違うものだ」

と書かれており、宋氏の投稿内容とほぼ一致する。

ウェイボで990万以上のフォロワーを持つインフルエンサーの宋氏は、政府の主張をネット民に広く届けるために投稿したとみられる。

Facebookが6月仮想通貨Libra(リブラ)の発行を発表したのを機に、中国人民銀行はCBDC発行に前のめりになっている。

人民銀は2016年からCBDC発行について検討してきたが、今年7月以降、幹部や関係者から「間もなく発行する」「Libraが我々の計画を前倒しさせた」「Libraより先に発行する」などとの発言が相次ぎ、世界から注目されていた。

一方で、中国は仮想通貨取引やICOを中央集権的な中国の金融システムを脅かす存在とみなし2017年9月に全面禁止した。このため、人民銀のデジタル通貨ががBitcoinと同様の性質を持つ仮想通貨という印象を与えつつあることを危惧し、軌道修正に乗り出したようだ。

中国の著名エコノミスト宋清輝氏がウェイボに投稿した記事より引用