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NEM財団が資金援助要請に関する提案書「Funding Proposal 2019」を作成、コミュニティに公開
POI投票によるコミュニティの承認を得るための議論および提案書の修正段階へ
2019年2月7日 00:00
新たな方針としてプロダクト中心の組織への改革を表明したNEM.io財団(以下、NEM財団)は2月5日午後6時(米国標準時、以下同)、次のステップとしてコミュニティに向けて資金援助要請に関する提案書(プロポーザル)「Funding Proposal 2019」を公表した。提案書は、新たな資金調達として2億1000万XEM(800万米ドル相当)の支援を要請する計画について書かれている。NEM財団は、この提案書が実行されるためにはコミュニティメンバーのPOI投票(Proof of Importance投票)による承認が必要であることを明らかにした。
POI投票詳細と投票スケジュールについて
NEM財団は今回、本提案書および、提案書がPOI投票によって承認(あるいは否認)される条件と投票までのスケジュールについて発表をしている。
まず、提案書の承認要件として、最低3%のPOI投票が必要であること(「Yes」また「No」を含む全体数)。その上で、全体の65%以上の「Yes」投票が集まることで、本提案は承認されるものとしている。
次にスケジュールについてだが、コミュニティメンバーは本提案書について10日間の議論をすることができる協議期間が設けられている。協議期間は、2月5日午後6時から15日の午後6時までということになる。しかし、注意が必要なのは、議論によって提案書が修正できるのは最初の5日間のみとしている点だ。5日間で行われた議論によるフィードバックを基に、NEM財団が改めて提案書を修正するとしている。残り5日の協議間は提案書への修正は行われないが、議論は継続していくとしている。
提案書を修正し、協議期間が終了した段階で、いよいよPOI投票となる。POI投票は2月15日午後6時から20日午後6時までの5日間としている。ちなみに日本時間では、2月16日午前9時から21日午前9時までとなる。POI投票についてはすべてのコミュニティメンバーが投票可能であるという。また、提案書については、決定以降は変更しないことを明記している。
ファンドの資金調達先としては、マーケティング、非従来型マーケティングほか、いくつかの候補先が考えられるが、調達先についてはPOI投票の5日前(10日午後6時)には確定および提案される予定とのこと。
なお、POI投票は「NEM Wallet」(旧NanoWallet)より行うとしている。詳しくは、NEM財団より投票ガイドライン(英語)が公開されているので、こちらを確認しておくといいだろう。
提案書について
さて、今回の提案書について内容に関しても確認してみたい。
提案書「Funding Proposal 2019」は、資金援助要請に関する提案書であり、新たな資金調達として2億1000万XEM(800万米ドル相当)の支援を要請する計画について書かれている。提案には、資金調達のほかにも、前述のPOI投票に関する情報や新たなNEM財団の運営方法、提案が承認された場合についての資金の使途などが含まれている。
たとえば、新体制では昨年の予算支出を64.05%削減し、スタッフを69%削減するといった人員計画についても言及している。さらに、XEMの相場価格変動に合わせて人員やプロジェクトを戦略的に増削減したり、NEM財団による急速なXEMの販売等を控え、相場に影響を与えないよう配慮するなど、今後の財団運営体制についても記載している。
また提案書には、2017年からの初期資金1億XEMに関する使途およびこれまでの計画の失敗についてなど、先日の「Foundation - message to the community」(コミュニティの皆さまへ)にて発表が行われた内容についても改めて記載している。こちらについては、以前、弊誌でも記事にしているので参考にしていただきたい。
その他にも、NEM財団の存在意義、新体制における運営方法や、Catapult等に関する採用、開発サポート、新技術に関する推進方法など、NEM財団の業務・指示系統・ミッション等が示されている。新体制となったNEM財団がコミュニティを支えるために存在し、目標達成のため再出発する意気込みが記載されている。
NEM財団は「NEM」ではない
NEM財団は、今回の提案書公開に先駆けて「NEM.io財団の組織変革ニュースについて、質問と想定される質問への回答」というリリースを発表している。記事は、一部海外の報道機関により報道された「NEM財団は、ほぼ破綻」といった記事に対するNEM財団による回答だ。こちらは真摯に回答を行っているので、ぜひ一読していただきたい。
そこでもNEM財団は伝えているが、「NEM財団は『NEM』ではない」という言葉が印象的だ。NEM財団は、独立した組織として運営されており、NEMのオープンソースプロジェクトに関わるエコシステム貢献者の1つであるということ。Catapultの開発を始めとするNEMのオープンソースプロジェクトは、NEM財団の財務状況の影響を受けることなく(ある意味でNEM財団の存在とは無関係に)、今後も引き続き「力強く成長を続ける」ものであるという。
なお、今回の提案書については、英語によるスピーチだがNEM財団の新代表であるアレクサンドラ・ティンスマン(Alexandra Tinsman)氏による解説動画が公開されている。こちらも併せて確認しておくといいだろう。