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「Facebookの仮想通貨リブラは中国の安保戦略にも影響」——中国社科院

ローンチされたら短期間で普及

(Image: Ascannio / Shutterstock.com)

中国最高の学術機関である中国社会科学院学部委員で国家金融発展実験室理事長の李揚氏は、今月発表した寄稿の中で、Facebookの仮想通貨Libra(リブラ)を「従来のデジタル通貨とは違う。周到に準備され、詳細な審査に耐えられるプロジェクトだ。ローンチしたら短期間のうちに国際決済で優勢なポジションを取る」と評価。一方で中国の決済業界だけでなく、一帯一路戦略や安全保障戦略にも影響を及ぼす可能性を指摘した。

リブラの成功可能性高い

李氏は「リブラの挑戦を重視すべき」と題する文章を発表。「金融当局や立法関係者の間では否定的な評価が多いものの、デジタル通貨はすでにわれわれの生活の一部となりつつあり、Facebookの壮大なビジョンを軽視してはいけない」と強調した。

リブラは法定通貨と同じく、「商品やサービスの購入」と「交換」の機能を持ち、リブラの運用機関であるリブラ協会はリブラを発行することで、法定通貨を得て運用できる。李氏は、「リブラ協会は法定通貨の運用益でシステムの運用コストをまかなったり、取引手数料を下げたり、投資家に還元したりできる一方、リブラのユーザーは分配の恩恵にあずかることはできない。その意味ではリブラ協会は、現代の上場企業にも近い」と分析した。

現在、世界中の金融当局や政治家が、リブラをローンチする前にマネーロンダリングやテロ資金に使われる懸念や、デジタル通貨の法的位置付けといった問題を解決しなければならないと主張している。李氏は「長期的に見たら解決法はいくらでもある」とし、リブラが成功するとの見通しを示した。

人民元と正面から競争

李氏は、リブラが連動する法定通貨を、米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円などになると推測。「人民元は明確に排除されている」と指摘し、「リブラと人民元は正面から競争する立場になる。中国は注視する必要がある」とした。

中国にもたらす影響については、「まずは決済分野で脅威になるだろう」と分析。リブラはローンチ当初は決済分野のみに用いられるほか、複数の国際通貨に裏付けられるため、「国際決済ではかなりの優位性がある。中国の決済業界の特に海外展開を阻む存在になる」と述べた。

中国の一帯一路戦略や、人民元の国際化にも逆風となる懸念があるため、李氏は「競争しつつも手を組まなければならない」と語った。さらに「リブラの中国展開を許すかどうかは、中国がFacebookやGoogle、Twitterを開放するのかという議論にもつながる。ひいては中国の安全保障戦略にも影響を及ぼす」と分析した。