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イーサリアム、延期した大型アップデートを日本時間3月1日頃実施

新規仮想通貨は発生せず、第728万ブロックでハードフォーク予定

 Ethereum(ETH)の大型アップデート「コンスタンティノープル」(Constantinople)および「サンクトペテルブルク」(St.Petersburg)がネットワークの第728万ブロック(3月1日未明頃)より適用される。本アップデートは1月に予定していたアップデートを延期したもの。2つのアップデートを同ブロックで適用することとなるが、これはサンクトペテルブルグにより、コンスタンティノープルの脆弱性部分を無効化するという更新方法が採択されたことによる。

 コンスタンティノープルは、第708万ブロック(1月17日)での適用を予定し、下記5つの更新内容が実装される予定であった。ところが、更新直前の1月16日に更新内容の一つであるEIP-1283のリエントランシ攻撃に対する脆弱性が報告された。その後の開発者会議によって、第728万ブロックへのアップデート延期と、EIP-1283の実装見送りが決定していた。


    【コンスタンティノープルでの実装項目】
  • EIP145
    Ethereum仮想マシン(EVM)にビットシフト命令を実装。スマートコントラクトにかかるGAS代(Ethereumの手数料)の節約が見込める。
  • EIP1014
    State Channelのパフォーマンスを改善する、新しいトランザクション作成命令の追加。
  • EIP1052
    スマートコントラクトの検証コストを削減する、新規命令の追加。
  • EIP1234
    ブロック生成の難易度上昇率の緩和とブロック生成報酬の2ETHへの引き下げ。
  • EIP1283(※サンクトペテルブルグにより無効化
    EVMのSSTORE命令におけるGAS計算方式の変更。1つのトランザクションで複数のストレージを扱うようなスマートコントラクトのGAS代を節約する。

 コンスタンティノープルと同時に適用されるサンクトペテルブルグは、上述のEIP-1283を無効化するアップデートとなる。EthereumのテストネットRopstenなどでは脆弱性の発見以前からコンスタンティノープルが適用されている。そのため、コンスタンティノープルからEIP-1283を除外したものをメインネットに適用した場合、テストネットとのブロックの整合性が取れなくなるという。アップデートを2段階に分ければ、テストネットとメインネットに同様のアップデートを施すことが可能であるため、今回の方法が採用されている。

 本アップデートは適用前後でチェーンの互換性がなくなるため、ハードフォークとなる。チェーンの分岐ないし新規通貨の発行は予定されていないが、一時的にネットワークが不安定となる可能性がある。仮想通貨交換所によっては、ETHの入出金に制限が及ぶ場合もあるため、利用各位はご注意いただきたい。