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SBIが米リップル社と米R3社の分散型台帳技術を活用、個人間送金などの実現へ

Ripple社とは金融業界向け国際送金の利用、R3社とは幅広い業界での活用を視野に

 SBIホールディングス株式会社は、同社の代表取締役社長・北尾吉孝氏が「FIN/SUM 2018 & REG/SUM」にて行った講演「グループ内外企業との新たな価値の共創を目指して~2つの新生態系の形成~」についての資料を公開している。本稿では、米Ripple社との合弁会社「SBI Ripple Asia」に関する事業および米R3社との取り組みについて、資料より抜粋して紹介する。

デジタルアセットを基盤とする新たな金融生態系(「FIN/SUM x REG/SUM 2018」プレゼンテーション資料より引用、以下同)

 SBIグループは、デジタルアセットを活用した顧客便益性のより高い金融システムを構築するにあたり、Ripple社およびR3社との取り組みについて報告している。同グループは、Ripple社とR3社の世界的に高い評価を得ている技術力にいち早く投資し、両社の技術の商用化に向けて実証実験を進めている。

 両社の技術についてSBIグループは、Ripple社の技術は金融業界向けに国際送金の次世代決済基盤の構築に利用し、R3社の分散型台帳技術はスマートコントラクトをベースとして金融業界に限らず幅広い業界での活用を視野に、それぞれ事業領域のすみ分けを考えている。

 Ripple社とは2016年5月に合弁会社「SBI Ripple Asia」設立し、日本国内の金融機関と「内外為替一元化コンソーシアム」を発足している。また、R3社に対してはSBIグループが外部筆頭株主となり、役員を派遣するなど、お互いの関係性を強化している。

R3社とRipple社の事業領域のすみ分け

 合弁会社SBI Ripple Asiaは、アジアでの送金革命を目標に分散型台帳技術の実用化を目標に掲げている。そのために内外為替一元化コンソーシアムを設立。メガバンクや地方銀行が参加するコンソーシアムでは、国内外の送金の一元化でオペレーションコストを削減、24時間リアルタイム決済、決済インフラコストや銀行の決済コストの削減、顧客の送金手数料削減を目指すという。すでに、Ripple社の技術「xCurrent」を搭載する送金プラットフォーム「RCクラウド2.0」は完成し、銀行への導入や、スマートフォンアプリの開発などを推進しているという。

 さらに、内外為替一元化コンソーシアムでは、分散型台帳技術を用いたスマートフォン向け送金アプリ「Money Tap」(マネータップ)を開発している。現在、住信SBIネット銀行、スルガ銀行、りそな銀行の3行が先行して試験運用中だ。Money Tapは、RCクラウド2.0に接続し、利用者による個人間の送金を安全かつリアルタイムで実行する。Money TapとRCクラウド2.0との接続は、参加金融機関の開発負荷を軽減するために、オープンAPIを利用した接続を可能とする「共通ゲートウェイ」を活用している。

 Money Tapは、口座番号指定のほかに、携帯電話番号等を用いた決済も可能だという。また、指紋による生体認証と組み合わせることでユーザーエクスペリエンス(UX)とセキュリティを両立させているのが特徴だ。

スマートフォン向け送金アプリ「Money Tap」を開発中

 R3社との取り組みについてSBIグループは、R3社の分散型元帳プラットフォーム「Corda」のSBIグループによる活用推進を挙げている。金融業界向けに開発されたオープンソースのCordaを推進するために、SBIグループのシステム会社であるSBI BITS社がR3社に代わり、2017年11月より「Cordaトレーニングプログラム」を国内にて提供を開始している。現在、トレーニング参加社数は30社におよんでいる。

R3社へのSBIグループの取り組みについて