仮想通貨(暗号資産)ニュース
活気づく仮想通貨業界。各交換所が事業強化を発表
新サービスの開始・安全性の強化・スポーツへの協賛
2019年8月23日 06:00
国内の仮想通貨業界は今、活気づいている。2019年5月に国会で改正資金決済法と改正金融商品取引法が成立。7月初頭には、一部仮想通貨交換業者に対する金融庁の業務改善命令が解除された。さらに4月からBitcoin(BTC)の強気相場が継続。7月には1BTC=130万円を越える日もあり、現在も1BTC=100万円以上を保っている。業界の中心となる国内の仮想通貨交換所は、7月末から8月中頃にかけて、各社がそれぞれの動きを見せた。
本稿では、新サービスの開始、安全性の強化、スポーツへの協賛という区分けでbitFlyer、VCTRADE、GMOコイン、BITPoint、Coincheck、楽天ウォレット、DeCurret、フィスコ仮想通貨取引所、Zaifの近況をまとめる。
新サービスの開始
いずれの仮想通貨交換所も目指すところはより多くの人が仮想通貨の口座を持ち、広く利用できるようにすることと考えられる。そのなかでも8月の連休明けに相次いで新規サービスの投入を発表したbitFlyer、DeCurret、Coincheckのアプローチは三者三様となっている。
bitFlyerは8月20日にTポイントジャパンとの業務提携を発表し、Tポイントを用いた仮想通貨への交換サービスを提供開始した。また、同社が提供する仮想通貨を用いた店頭決済サービスでTポイントが貯まる制度や、Tカードの登録までを含めた新規登録キャンペーンを開始。仮想通貨のさらなる普及に向け、新規顧客の獲得に積極的だ。
続いてDeCurretは8月21日、仮想通貨による電子マネーチャージを提供開始。仮想通貨の社会実装を推し進める姿勢だ。さらに同日、レバレッジ取引の提供とEthereum(ETH)の上場を行い、サービスを拡充した。
Coincheckは新規トークン発行による資金調達について、事業者から委託を受け、仮想通貨交換業者がトークン発行を代行し上場するIEO事業を検討することを発表。IEO実施プロジェクトの募集を開始した。実現すれば、金融庁認定の仮想通貨交換所が行う国内初のIEOとなるだろう。海外ではBinanceやHuobiなどがIEO事業を実施しており、近年問題となったICOよりも信頼性の高い投資として人気を博している。
現状国内でスタートアップ企業などがトークンの新規発行による資金調達を行うのは困難で、ICOに代わる手段が必要だ。国内でIEOを提供する業者はおらず、ICOは制度上厳しいとなると、海外に出るしかない。国内の仮想通貨交換所がIEOのプラットフォームを提供するのであれば、海外に技術が流れてしまうことを防げる。そういった観点でも重要なサービスとなるだろう。
また、楽天ウォレットが8月19日からサービスを開始した。7月31日にはSBIのVCTRADEが板取引サービス「VCTRADE Pro」の提供を開始している。
安全性の強化
国内の仮想通貨交換業者で、いち早くFATFのマネロン対策規制に対応を進めているのがSBI VCトレードが運営するVCTRADEだ。同交換所は仮想通貨の出金手段として、同社が提携するCoolBitX社開発の公認ハードウェアウォレットの利用を要件としている。
同社は従来導入していた「クールウォレットS」に代わってカスタム仕様の「クールXウォレット」を導入したことが、8月8日付けのコインテレグラフの報道により明らかとなった。クールXウォレットの導入により、VCTRADEは秘密鍵の安全な保管と複数レイヤーのKYC(本人確認)に対応。FATFのガイダンスに準拠したマネロン・テロ資金供与対策の実現に向け、一歩前進という形だ。
フィスコ仮想通貨取引所とZaifは8月15日、両仮想通貨交換所の正式な統合を発表している。統合はフィスコの口座をZaif側に移管する形となる。これに合わせ、既存ユーザーに対しても再度KYCを実施する。すべてのユーザーの登録情報を最新のものに更新し、マネロン対策を引き締める方針だ。
一方、Zaifの元運営会社であるテックビューロは8月22日、仮想通貨交換業の廃業を正式に発表。フィスコ仮想通貨交換所への口座移動を行わなかったユーザーに対し、9月2日から11月30日という期間を定め返金対応の受け付けを行っている。
7月に仮想通貨の不正流出が発生したBITPointは順次サービスを再開している。8月13日までに法定通貨の入出金、レバレッジ取引、仮想通貨現物の売買取引のサービスを再開済みだ。今後9月以降に仮想通貨の出金(送付)を再開予定である。
スポーツへの協賛
GMOグループはスポーツ支援を積極的に行っており、GMOコインは沖縄のサッカークラブFC琉球の筆頭スポンサーとして協賛している。8月17日にはFC琉球ホームの沖縄・タピック県総ひやごんスタジアムで冠協賛試合を開催。会場は超満員で、過去最多となる1万2019人の観客を動員した。同試合で敢闘賞を受けた小野伸二選手には、GMOコインから時価109万円相当の1BTCが贈られた。
さらにGMOコインはFC琉球と協力し、新たなファンクラブサービスとして「FC琉球コイン」を発表している。開発にはブロックチェーンゲーム「くりぷ豚」を開発・運営するグッドラックスリーが協力する。FC琉球コインを足がかりに、沖縄県全体でのトークンサービスも視野に入れているという。
bitFlyerもサッカーへの協賛を発表した。8月23日開催の明治安田生命J1リーグのサガン鳥栖対ヴィッセル神戸の試合に協賛する。同試合はサガン鳥栖のフェルナンド・トーレス選手の引退試合。同選手の引退イベントにも協賛するという。