仮想通貨(暗号資産)ニュース
ブロックチェーンの商用利用20事例、新経連がまとめ政府へ提出
日本ブロックチェーン協会加盟企業の取り組みなど包括した資料を公開
2020年3月10日 06:00
新経済連盟(以下、新経連)は3月6日、日本ブロックチェーン協会の協力を得て「ブロックチェーン国家戦略に向けた提言(事例分析編)」を作成し、IT担当大臣ほか関係大臣宛に提出したことを発表した。併せて提出文書が公開されている(参考資料)。
同書は冒頭でブロックチェーンを活用する意義などを説明し、12ページ以降では国内企業での実際の活用例として、20の事例について図解とともに既存の課題とブロックチェーンによる解決策をまとめている。以下にその内容を簡単に紹介する。
- 中央銀行デジタル通貨本番運用
ソラミツがHyperledger Irohaを活用しカンボジア中銀デジタル通貨「バコン」を3月末から正式導入の予定。社会全体の決済インフラコスト低減に期待(関連記事)。 - デジタル証券保管振替の本番運用
ソラミツのHyperledger Irohaを活用しモスクワ・スイス・スロベニア間のブロックチェーン取引が本番運用中。単一障害点を排除し、なりすましや不正取引を防止(関連記事)。 - 個人主権型IDサービス(bPassport)
bitFlyer Blockchainが開発中。第三者による情報の正確性認証や個人によるデータ管理の実現を目指す(関連記事)。 - 本人確認プラットフォームのテスト運用
ソラミツがインドネシアの商業銀行BCAと共にテスト運用を完了。ブロックチェーンに個人情報検証用のハッシュ値を記録し非改ざん性を担保。 - 不動産賃貸プラットフォーム
bitFlyer Blockchainと住友商事が実証実験済み。不動産賃貸契約をスマホ1つで完結できる仕組み(関連記事)。 - 不動産権利移転記録
LIFULLが検証中。不動産所有権を代替不可トークン化し、その移転をブロックチェーン上に記録することで移転記録と公証を行う(関連記事)。 - 貿易金融(オープンアカウント取引)
TradeIXとR3主導のMarco Poloネットワークは2020年以降に商用化を予定。貿易の書類手続きを効率化する(関連記事)。 - 貿易金融(信用状取引)
CryptoBLKが主導するContourネットワークは2020年4月頃に商用化予定。信用状取引を電子化する(関連記事)。 - スマートコントラクト保険のPoC
ソラミツが損保ジャパン日本興亜と取り組む契約管理および、あいおいニッセイと取り組むスマートコントラクトを活用した保険の一括管理。 - 環境価値の取引システム
CTIAが開発中のすべての業種がひとつのプラットフォームに参加できるソリューション。 - J-クレジットの取引システム
楽天エナジーが開発中のJ-クレジット取引システムは、J-クレジットの発生由来を透明化し記録、監査証跡として機能する。 - 流通トレーサビリティにおける活用
カレンシーポートは農林水産省採択事業として食品トレーサビリティプラットフォームを開発。複数サプライチェーンの相互運用性など実現。 - 中国ECにおけるトレーサビリティ
楽天が取り組む中国越境ECの流通経路可視化。 - 電子投票システム「BCVote」
オウケイウェイヴが開発した電子投票システムは第三者の介在なしに投票プロセスを安全に実行できる(関連記事)。 - 音楽著作権登録管理システム「HashTune」
Gincoが開発中。分散的に楽曲著作権の信頼性を担保し、作家や著作権管理団体間の権利委託業務をワークフロー化する。 - 分散型翻訳プラットフォーム
bitFlyer BlockchaintoとTokyo Otaku Mode、イードが共同で実証実験を行ったTokyo Honyaku Quest。翻訳者の権利主張などが可能(関連記事)。 - アートワークの所有権管理・流通システム
Aniqueが提供中。デジタルグッズの唯一性を実現し、版元による流通のコントロールなどを実現(関連記事)。 - 未来の応援のカタチを実現する「cheerfor」
ガイアックスが開発。トークンを用いた応援プラットフォーム(関連記事)。 - 社内コインシステム
インテックが開発。富山第一銀行の従業員向けに円ペッグのデジタル通貨を発行し、本店内売店で利用可能にした(関連記事)。 - ブロックチェーン向け金融・経済情報サービス
QUICKとクリプタクトが開発。通貨や権利などの資産情報をブロックチェーンに記録し、スマートコントラクトを用いて資産の移転や権利行使を自動化する(関連記事)。