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Bitcoin Cashハードフォークが無事完了、ABCとSVにチェーンが分岐して新仮想通貨が誕生

ハッシュレートやブロック数はABC陣営が優勢に転じ、多くの国内交換所の新通貨対応はいまだ不明

 仮想通貨Bitcoin Cash(BCH)の2018年11月における大規模アップデートは、予定通り16日1時40分頃に実施された。Bitcoin ABC陣営が同日3時頃にブロックのマイニング(生成)に成功し、続いてBitcoin SV陣営も3時20分頃にブロックの生成に成功した。Bitcoin SV陣営とBitcoin ABC陣営でチェーンが分岐したため、BCHはBitcoin SVとBitcoin ABCという2種類の通貨に分裂する結果となったところまで、筆者もリアルタイムで観測していた。

 今回のBitcoin Cash(BCH)のアップデートは、ハードフォークと呼ばれる「ブロックチェーンが旧仕様と互換性のない新仕様に移行」という変更となる。そのため、正常にアップデートされるのか、アップデート後にいつブロックが生成されるのか、チェーンが分岐するのか、といったことに注目していた。もちろん、それだけではなく、Bitcoin ABCとBitcoin SVという団体がそれぞれ独立したアップデート仕様を提案し対立を深めていたことから、ハードフォーク前後にどのような混乱が生じるのか自分の目で確かめておきたかったからである。

 ハードフォーク前のハッシュレートはBitcoin ABC陣営が劣勢だったが、ハードフォーク直後から優勢に転じ、本稿執筆時点(11月16日12時頃)では、Bitcoin ABC陣営がほぼダブルスコアでBitcoin SV陣営より優勢となっている。これは、Bitcoin ABC陣営の主要人物であるBitcoin.com最高経営責任者のRoger Ver氏が、同マイニングプールのハッシュレートの割合をBitcoin Cash(BCH)に4024.82Ph/s、Bitcoin(BTC)に235.96Ph/sというように、BTCよりもBCHを優先したことが大きな要因のようだ。

 まだ「ハッシュウォー」の雌雄は決しておらず、いつになったらブロックチェーンが安定して「ハッシュウォー」が収束するのかは定かではない。しばらくは情勢を見守りつつ、当面はBCHの取引を控えた方がよいだろう。

 Bitcoin.comのマイニングプールのハッシュレートがいつまでBCH優先を継続できるのか不明なほか、Bitcoin SV陣営が表明している過激な行動方針をどこまで本気で実施するのか、ABCとSVの両陣営が対立を収束させてそれぞれ独立して存続できるのか、といった不確定要素があるためである。

 国内の仮想通貨交換所におけるBitcoin Cash(BCH)ハードフォークへの対応としては、BCHの入出金などを一時停止しており、本稿執筆時点では再開されていない。ハードフォークで新通貨が発生した場合に、BCH保有ユーザーに新通貨を付与するのか否かといったことは交換所ごとに対応が異なる。SBI VCTRADE、BTCBOX、Liquid by Quoineの各交換所は新通貨を付与する方針で、みんなのビットコインは検討中、ほかは方針を明らかにしていない。

 まだ完全に確定したことを確認できていないが、おそらくBitcoin Cash(BCH)の名称を継承するのは、Bitcoin ABC(既存通貨)となるようだ。なお、前回の記事にも書いたことだが、仮に仮想通貨交換所がBitcoin SV(新通貨)に対応すると決定した場合には、一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)への届出と承認が必要となる。そういった事情があるため、方針を明らかにしていないのだと思われるが、速やかなる情報開示を切に望む。